ホワイトカラー生産性向上ーコミュニケーション改善

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コミュニケーション向上改善と聞いて何を思い浮かべますか?飲み会、ゲーム大会、合宿等々お金をかければ色々ありますが、それが目指しているものでしょうか?

ここでは生産性向上に特化したコミュニケーションのあり方に絞ります。報告・連絡・相談は業務に含まれるので、コミュニケーションではありません。それ以外の目的の会話、日常会話の個々人の意見を交換したり、お互いの性格を理解する会話をコミュニケーションと定義します。個人の資質や社長、マネージャーの考え方にもよるでしょうが、私の結論はコミュニケーションの必要性は時と場合により異なるが、基本不要という考え方です。

コミュニケーションは基本的には必要ない。

生産性という観点でいうと、基本は不要です。日本人は昔からみんなの意見を尊重するやり方を好みます。それは、上位の人の発想を妨げ、下位というか全体についていけない人を弾きます。そして平均はどうしても平均にならざる得ません。

コミュニケーションが常に必要という日本人的発想が生産性悪化の大きな要因という立場を私はとります

コミュニケーションが必要な時とは?

報告連絡相談は日常業務として必要ですので、それ以外のコミュニケーションが必要な場合は、常に上位者側にあり、部下からするものではありません。よってコミュニケーションを必要とするのは上位者です

そして、常に必要ではなく、方向性に困った時にのみ必要です。ただ言える事は業務が明確であればあるほど必要ないという事です。

では業務が明確でない時、「相談」として意見を都合よく出してくれるかというと、そうはいきません。相性や言い方一つで必要な時に意見をもらえない。だから常に必要と考える人が多いです。飲みニュケーションや、レクリエーションをやりたがるのもそういう理由です。

では欧米系の会社は本当に常にそういうことをしてるのでしょうか?大きな会社になると、それで知り合った人と円滑な話が進むのでしょうか?答えは入り口が少し下がる程度。投資対効果に見合いません。

すなわち、コミュニケーションが日常業務上の報告連絡相談でとれる人には、あえてコミュニケーションタイムというものは必要ありません。ワンオンワンや一斉レクリエーション、等々の施策は不要なばかりか、生産性悪化なのです。

ではどうして必要と多くの人が考えているのでしょう。多くのマネージャー以上の上位職につく人が日常的にコミュニケーションをとるのを苦手としてる、からに違いありません。

年に数回のワンオンワンミーティングのルール化?

強制的に部下と話す機会を作る。昇進や家族の事情、やりたいこと、等々を話す場を会社としてセットする、というのは一つのやり方です。

しかしながら、得てして、コミュニケーションの苦手な人はきちんとこれすらできない人が多いでしょう。

部下の意見が必要な場合は、得意な別の人に依頼するのが効率的と考えます。コミュニケーション力が足りない人には、自発的にセミナーや研修等に行っていただかないと改善は難しいでしょう。

「コミュニケーションは生産性向上のベース」という幻想

コミュニケーションがあがると和気藹々とし、家族的な職場雰囲気となり、生産性が向上するというのは一つの幻想だと思います。生産性の高い職場は殺伐とし、無駄な会話はなく、必要な打ち合わせのみがあちこちで開かれるものです。

日本で、はみだしものを防ぐために、文脈を読むために、あるいははっきりした言い方や指示をしない文化がある故に、「全員一丸」という意識が浸透しています。以心伝心やあうんの呼吸といったものが尊重される世界。それが日本企業社会なのですが、それは決して生産性を向上させているわけではありません。

学校生活の部活動が一つの例です。どこかのグループに属し、どこかのグループ内での会話方法に縛られ、個々の意見は抹殺するのが日本社会です。スポーツの強豪チームや、プロジェクト的なチームが一体となった成果を上げたとき、それは気持ちの良い経験を生み出し、伝説と化し、美化されます。しかしながらそれは極めて短期的で、しかも確率は非常に低い。そして、それを常にできるわけではありません。

私にも、成功したプロジェクト体験がいくつもあります(数人から100人弱)が、どれもブレークスルー的な成果を出したとき、むしろ成功するチームは殺伐としていました。日常会話なんてありません。やるべきことを個々人が理解し、お互いを助け合い、信頼する関係がある時、ピンと張り詰めた緊張感と、手が空いたら声をかけて助ける、というものでした。お互いが仲がよいから、というよりは、大きな成果をつかむために、自然と誰もができていました。日常会話など時間がもったいなくて誰もしてませんでした。それでも、最後プロジェクトがうまくいき、褒められたり、打ち上げの飲み会の場があり、そういうときに何を会話するか、というと、会話はとりとめの無い話ばかりで、何かがあったわけではなかったし、むしろ次のプロジェクトや仕事をしたかった。正直、会話はかみあわなかったのです。むしろ成功体験の成果はお互いすれ道で違うときに「アイコンタクトをとり、にやける一瞬のコミュニケーション」で十分でした。その経験は、本当に心地よかった。

コミュニケーションは「ドロップする人を作らない」のが唯一のメリットといえば、聞こえはよいかもしれませんが、どれだけコミュニケーションが家族的に進んでいる職場でも、ドロップする人は出てきます。むしろ、適合できる人しかいれない、というデメリットも出てきます。職業選択の自由が保障されている国で、個々の意見を抹殺しかねない「日常コミュニケーションが円滑な企業やチーム」は、実は大きな上昇チャンスを失っているかもしれませんし、生産性観点でいえば、全員の力を引き出し切れていない可能性が高い、と考えます。

唯一、部下から必要なコミュニケーション必要の時

実は、人の定着がなされない場合は、部下が唯一必要としているタイミングがあります。誰がどういう人なのか、業務上、性格を知っておいた方が勧めやすいと思ってることもあるからです。特に、業務がしっかりわかれていなくて、明確になっていない場合がこれにあたります。

誰に聞いたら良いのかわからない、業務がわかれていて。誰が何をしているのかわからない、閉鎖的な環境で、性格次第で結論が変わってしまう、そんな職場の場合は、部下がコミュニケーションの機会を必要としています。

もしそんなニーズがあったなら、それは通常業務の改善機会としてとらえたほうがよいと思います。業務分担をしっかりとして、通常業務の改善を進めることで、前後の人や上位者と話す機会はいくらでも必要となり、コミュニケーションが自然と生まれていきます。

文化的なもの

地方にある中小企業や事務所、国によっては、コミュニケーションタイムがあるのが普通、というところもあります。アジアの国々では社員旅行があたりまえに年に一度はあります。職場を家族の延長線上として捉える文化があるからです。私はそれまで否定するものではありません。ただし、それがコミュニケーション向上・そして生産性向上につながるかというと、そうは思いません。

仕事上必要なのは、日常会話ではないし、心安まる会話は家族や友人とするものでしょう。サークル活動等を奨励するのも一案です。しかしそれは業務時間内ではありません。業務時間は徹底的に効率性を追求し、業務が終わったら自由にやる、それが生産性向上の秘訣です。

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